誰かがそれを現代美術だといった
ぼくは「ただの絵」だと思った
ただまっしろな壁に掛けられた
大きな椅子が描かれた絵だ
黄色の調子がいいかんじ
せわしないことに慣れている
紙幣の飛び交うダイアログ
いつもの道ですれちがうのはいつもの人
代り映えしない
愛おしい物語
きみはどこかへ行ってしまう
賑やかなアンドロメダ
争うことに慣れてしまったのは
いつからだったろう
ささやかな言葉ひとつ忘れてしまう
ビーニールの袋に入っている
アルコールとピーナッツ
輝きより光放つものはあるか
自由なガラクタ
模倣するパペット
届かないから手を伸ばした
ぼくはゴッホの耳片手