狂って候


NUMBER GIRLのライブを観に豊洲PITへ行ってきた。

同じ向井秀徳バンドでも、ZAZEN BOYZよりも男度が高く、開演前から熱気がムンとしてた。

照明が落ちて開演、最初のギターが掻き鳴らされた瞬間に、周りにいた男どもが一斉にジャンプして両手を振り上げ、ギュウギュウに押してきた。ある程度は覚悟していたモッシュも実際にこの身をもって体験してみると、身体のあちこちがぶつかるし靴は踏まれまくるし、でもそんなの知ったこっちゃないの如く、ステージに向けて皆咆哮していた。汗まみれで。

 

自分はライブの時に手を挙げたりしない。それをするとむしろライブに集中できない。昔、Mr.Childrenのライブに行った時に周りに合わせて手を挙げて前後に動かしたり、手を叩いたりしたのだけど、どうも音に対して自然な感じがしなくて違和感しかなかった。普段音楽聴いてる時にしない動きをしてるからか。

だから大体どんなミュージシャンのライブでも腕組んだり、下にぶらーっとさせた状態だったりして楽な姿勢で対峙する。側から見るともしかしたらノリの悪いやつに映るかもしれないが、俺は俺で楽しんでいる。

 

でも今日はそれができなかった。どんなにその場にいようとしても人が四方八方からぶつかってきてどんどん元いた場所から移動させられてしまう。あまりにぶつかってくるので苛立って「次のサビがきたら思いっきりタックルしてやろうか」と考えていたほど。

 

しかし気が付けば最初に立っていた場所から3メートルほど後ろに流されていた。そこはちょうど動き回る人のエリアと静かに観たい人のエリアの境界だった。

 

前では頭を振り乱して「ふぉー!」と声をあげてステップ踏むやつら、後ろでは各々に身体を揺らしながら静かにリズムをとる人たち。

やっと自分の居場所を見つけ、安心して仁王立ちする俺。

 

 

 

 

 

『その音が鳴ると人人はアニマルになった』

雄叫びをあげて拳を振り上げ、身体中の血を狂喜乱舞させ縦横無尽に踊る。

その様子、その狂乱の只中にいながら思ったことは、「デビルマン」の序盤に、人間がゴーゴークラブにて爆音の音楽と照明の中、欲望の闇に落ち悪魔と交わる瞬間。

もしくは「進撃の巨人」でジークの脊髄液を身体に入れた人間が、そのジークの雄叫びを合図に巨人化してしまうこと。

何かを合図に、人間から違う動物に変わる、そしてただの獣。

 

 

 

 

いやもちろんライブマナーというのか、明言されてはいないものの、縦ノリ系のロックバンドのライブ前列は動いてなんぼだ、というくらいは認識してる。普段の生活では発散できない感情をぶつけたい、非日常の体験を期待しているからこそ解放へのアドレナリンは増す。

 

それでもあの光景を目の当たりにしたら驚く。

ギリギリの秩序で動いてんだな、人間も。

 

一時期の銀杏BOYZとかもっとすごかったんだろうなあ。映像でしか見たことないけど。 

いやそもそもロックてそういうものか、そういう者の対象になるものがロックか。

 

うーむ。

 

 

昔に見た音楽レーベルのドキュメンタリー「MOTHER FUCKER」思い出すなあ。

http://www.ele-king.net/news/005855/