グループ展

東京藝術大学と武蔵野美術大学の学生がグループ展をやっていた。家の近くのレンタルスペースで。

 

そこは普段、着物の展示販売や、書道教室に通う年配の人らの発表の場として機能している印象があった。

 

だから道沿いにデカデカと「美大生のグループ展!」という文字が書かれた看板が置かれ、中に在廊していた金髪の女の子と、サイケな配色を身に纏った男の子を見つけた時は驚いた。

 

スーパーで買い物をした帰りで、両手にはビニール袋をぶら下げていた。なので(また今度でいっか)と、通り過ぎて家路につこうとした、けれど5メートルほど歩いてから戻った。

 

中に入ると思っていた以上に奥行きがあった。

「こんばんわ」「ありがとうございます」

在廊していた男女が各々に挨拶してくれた。

 

「こんばんわ」

軽く会釈しながら1番奥に展示してある作品をまず見に行く。

 

大きな石が置いてあって、その近くにある紙に「彫刻」とだけ書いてあった。

どうやら彫刻科の学生らしい。彫刻の概念、コンセプチュアルな作品の展示なのかな、と思い次の作品に視線を動かす。

 

荒い筆致による絵、キャンバスに描くまでに思考した形跡、会場の空間、構造に呼応するように設置した物体、会期中入口ではライブペイントをやっているようで画材が転がっていた。

まだメジャーデビューして2年くらいのロックバンドの音源がスピーカーから流れていて、それが外に向かってなのか、内側を包むためなのかは分からないけど、わりと大きめな音量で流れていた。

 

ドアが無いので、常に開放された状態の展示場は寒かった。

 

グループのリーダーぽい人が「これが今回のDMです、よかったら。」と渡してきた。

これまたサイケな色でデザインされたDMで、出展者の作品が切り取られ貼り付けられていた。

 

「ありがとうございました」

会場を出て寒空の空気に触れた時、自分がなんだかほっこりした気持ちになってたことに気付いた。