こんにちはこんばんは。近藤です。
今日は初めて付き合った人の話。
高校3年の夏だったか、授業終わりに声をかけられた。
「あの、よかったら連絡先を交換してもらえませんか?」
2歳年下、小柄で髪色明るく、毛先はクルクルとアイロンで丁寧に巻いていた。
全体的な雰囲気や口調からしてギャルぽい子だった。
少し離れて後ろにはその子の友達が微笑みながら、明らかな頑張れオーラを纏い見守っていた。
まさか自分にこんなことがあるとは。
異性を意識しはじめたのは小学五年生からで、その後中学生になってからは思春期爆発だった。女の子に対して、いままでの接し方ができずにしどろもどろ。小学生の頃から好きだった子も同じクラスにいたけど、アタックできず。そしてなにより全くモテず。
その理由の一つに、当時かなり太っていて、中学生にして体重が86キロあった。
運動をせずに間食大好き人間だったのでそりゃ肥えるわと。
まあそっから事故したり筋トレを徹底したり色々経て、18歳の頃には65キロくらいまで体重を落とすことができた。
せっかく痩せたので、更に自分に自信をつけるために「メンズノンノ」や「ファンボーイズ」といったきれいめカジュアル傾向のファッション誌を見て勉強もしてた。髪型は、服装は、どういうのが受けがいいのか。
はやく童貞を卒業したかった。
女の子を目の前にして突然に連絡先を訊かれた時、普通、童貞は身動きの一切がとれない。
しかし、それを悟らてしまってはこの好機を逃してしまうかもしれない。
だから精一杯のゆうき、いや見栄を瞬時にふりしぼり「あーいいよ」と一言。
「あー」と少し考えた風を装ってからの軽やかな「いいよ」
完璧だった。
がっつかず、でいて興味ないわけではないですよぐらいの温度感。心の中でガッツポーズ。からの雄叫び。もう勝利を確信している。
相手からの反応を待つ。
口に手を当て嬉しそうに、そして恥ずかしそうに目を合わせないまま「あっありがとうございます。。」と携帯を取り出してきた。
当時はまだLINEなんてなかったから、メールアドレスを赤外線通信で交換。
手汗が尋常じゃなかった、もちろん自分が。
このままここに長居してはいけない、本能が呼びかける。間が持たない。交換が終えてすぐに「じゃあつぎの授業があるからまた!」うそだった。
ギャルがどんな返事をしたのか知れない。
友達から祝福の言葉をかけてもらっていたのかもしれない。
僕は、
(宝物を手に入れたあ!!!)
と、まだ何も始まっていない帰路を駆けた。
かなりの脚色そして気持ち悪さを帯びたこの文章。
告白(と本人は思っている)からのデート(と本人は感じている)へと事態は進むのだけど、やはりそこは童貞、あっという間にこの幸福感も終わってしまいます。
徳のない話はまた明後日。