こんにちはこんばんは。近藤です。
今日はエロ本の話です。
「男なら誰でも一度は..」といきなり話をはじめたところで、きっと育った環境によっては「そんな”当然”わたしは知りません」という人だっているでしょう。当然。
だから僕の場合は、で話すんですが。
静岡に住んでいた頃、実家の裏手は土手になっていて、そこを歩いていると必ずエロ本が落ちてたんですね。
で、ここでいう『エロ本』は成人以上対象の本物じゃなくて、週刊ポストとかフライデーとかの週刊雑誌を指します。更に詳しく言うと、その中の数ページ掲載しているグラビア写真(水着どころか服を脱いですらいないものも含む)のことを、当時小学生〜中学生の僕は『エロ本』と呼んでいたわけです。
それは、川にかかる橋の下や、川のなかでも水が流れてない端っこのところや、土手から少し外れた草むらの中にあったりして。たまに思いっきり堂々と道に破り捨てられていたこともあって「近所のおやじが仕掛けた罠だろ絶対、、」なんて、周りをキョロキョロ見渡していたこともあります。
(東京でも国道沿いとかに風俗の求人ページとかアダルトグッズのチラシとか破り捨ててあるけど、あれは誰がなんの目的でやってんのかいまだに謎。)
なんにせよ、思春期街道まっしぐらな僕にとってはこれ以上ないほど効果的な餌で。
まず携帯もパソコンも持ってなかったし、そもそもアダルトの映像産業もまだ一般までは浸透していなかった頃で。(いまみたいに誰でも手元で気軽に見られる環境ではなかったという意味で)だから高校生まで「エロは紙で楽しむもの」という意識が強かった。
で、探索をするわけですよ。
どこかに落ちていないかなって馬車馬のごとく。
日中の土手を自転車で、雨にもまけず風にもまけず雪はふらなかったけど夏の暑さにもまけぬ丈夫なからだをもち慾はつきな
拾ったことある人ならわかると思うんですが、雨風にさらされたあとの紙って独特の匂いがするんですよね。土の匂いていうか草の匂いていうか、、、まあでもそんなのおかまいなしで。
まず発見したら1度はその場所を通り過ぎます。
まるで「気付いていませんよ僕はいま日課にしているサイクリングを楽しんでいます」といった調子で口笛なんかも吹き。
そんでたっぷり大回りしてから、もう一度その場所に戻る。その時も周囲に人がいないか、いた場合はどの辺りに何人か、さりげなく、でいて念入りに目配せしておく。
そうこうしながら戻ってきたらすぐに自転車から降りて、本が乾いていることを確認し、つぎの瞬間急いで着ているTシャツの中に入れ、自転車で走り去る。(まるで窃盗犯の供述みたいだな)
もう胸はバクバク。
今なら誰よりもはやく!はやく走れる!
そう思えるほどにペダルは回転していた。
しかし呼吸が乱れているとすれ違う人に「あ、こいつエロ本拾ったな」て勘付かれるから、なかば息をとめつつ最小限にしていた。ただ息を吸って吐くだけがこんなにも奥深い。口ではなく脳で酸素を取り入れていたのかもしれない。登山駅伝の選手並みの呼吸法で土手を走る。
家に着いて息を整え、サァ!本日の主役とご対面!となった時、その時になってやっと冷静になる。
なんか濡れてふやけてるし、よく見たら印刷が滲んで顔が誰だかわからない。外に放置されて雨風に晒されてるから、当たり前だけど汚い。
「うわっ」
思わず手を離す、捨てる。
あのトキメキ感は一体、、
昔はコンビニで週刊誌のグラビア写真を立ち読みしてるサラリーマンを見ては「こんな人前で堂々ときもちわりいな」なんて思って見下してたのに、今じゃなんのためらいもなく週刊プレイボーイを読む自分。もちろんグラビア写真もちゃんとチェック。
はてさてあの頃の自分が見たらなんて言うだろう思うだろう。
これが歳をとるというやつの正体か。
だとしたら、なんとも格好の悪い正体だ。