サウナに行った。
今まで銭湯や温泉に行ってもさして興味のなかったサウナ。
なんでわざわざあんな狭く暑い空間で我慢大会みたいなことをするんだろう?と不思議だったし、そのあとに水風呂に浸かるってのもまた理解できない光景だった。せっかく身体をリラッックスさせるために来ているのに、そんな急激な寒暖差で刺激したら余計に疲れるだけじゃんって。
ただ、先日友達と行った銭湯で「一緒にサウナにも入ろう」と誘われ、見よう見まねで体験してみると、これがとても気持ちよかった。
まず身体を洗い、湯にある程度浸かってからサウナ室に。室温は100℃近かった。
扉を開けた瞬間からモワッとした空気が顔に当たり、いきなりの先制攻撃。
一瞬たじろぎそうになるが、ふんばり奥に進む。
中には地元の常連らしき人が二人、汗をだらだらと流しながら手を膝の上に置いてじっとしている。背筋は伸びているが顔は少しうつむいていて、時折タオルで顔をぬぐったり、深いため息をついていた。
浅く腰をかけ、じーっと前をみる。とめどなく流れてくる汗なんかよりも、呼吸に集中力の全てをもっていかれることに気が付く。なんせ鼻から吸い込もうものなら焼けてんじゃないかってくらい熱く、じゃあ口からと吸い込もうものなら肺いっぱいに熱が潜り込んできてむせそうになる。壁に掛けてある砂時計が憎らしく思えてきて、そのうち耐えられなくなってサウナ室を出た。
ふう〜と息を取り戻し、水風呂へ。
汗を流すために桶いっぱいにすくった水を頭からかける。
「!!!!!!!!!!!」
この時点で次に待ち受ける試練のレベルの高さを知る。
しかしこういうのは時間をかければかけるほど辛くなるもの、情けない声が出るのを我慢し一気に肩まで浸かる。
激しくなる鼓動を落ち着かせるように静かに息をする。少しでも動くと冷たさが身体中を伝うのでじっとしていた。すると、そのうち薄い膜が肌全体を覆うような感覚になり、さっきまでヒイヒイ言いながら感じていた冷たさがまるで嘘のように無くなった。
なんとも不思議で、暖かさと冷たさの境界線にいるような、このままずっと浸かっていたくなるような心地よさがあった。
本来だったらこの後に外気浴を挟むといいのだけど、そのスペースがなかったのでひたすらサウナ室→水風呂→サウナ室→水風呂を繰り返した。
なので”ととのう”ことは最後までなかったけど、次第に余分なもんが身体から抜けて、銭湯から出て夜の商店街を歩いてる時にはびっくりするくらい気持ちも身体も軽くなっていた。
あなどっていた、サウナ。