太る服

月に何度か行っている古着屋があって、この前も散歩がてら寄った。

店内を反時計回りに見る中で、4着気になる服があったので試着をした。

うち2着はサイズ感の問題と、自分には合わないデザインだったのでキャンセル。

ほか2着はベーシックだけど着心地がいいので購入。レジに持っていくと店員さんが「黒い服がお好きなんですか?」と。確かにその日は全身黒。靴だけかろうじて白。出かける前、今日は古着屋以外どこも行く予定ないし、それに試着するなら合わせやすい無彩色がいいだろうという判断で選んだにしても、人から言葉にして伝えられると少し恥ずかしくなってしまう。

「いやー結構ほら、顔が濃いめなんで、着る服も主張強いとうるさいかなーと思ってシンプルに」なんて少しズレた返事をしながら、選んだ黒色のシャツがきれいに畳まれていく様を見ていた。

 

また違う日。

ユニクロに行った。

わりと大きめの店舗だからこそできるディスプレイ。カラーチャートのように並べられた靴下やTシャツに、いつも「きれいだなー」と感嘆の声が心で漏れる。

家で作業する時間がほとんどなので、その作業中、視界の邪魔にならないような、かつ日によって気分を変えられるくらいのバリエーションで好きな色のTシャツを4着選ぶ。

全身黒みたいな日は、靴下の色でその日のテンションを決める時があるので、いつどんな色でも選べるようにクレヨンの基本セットみたいな色の靴下を4足購入。帰りがてら無印良品でも3足購入。計7色の彩り。誰が30過ぎ男の足元事情知りたいか、なんて思いながら字数を稼ぐ。

68kgから88kg、そして80kgに。

7年前に東京に越してからというもの、生活習慣の乱れやストレスで次第に体重が増えていき、特にここ2年くらいの彫刻制作生活のおかげでまったく外に出ることがなくなった。その成果あって、過去最大の体重を叩き出してしまったのは今年の3月。

今後、展示や打ち合わせ等で人に会う機会も増えていくのに流石にこれはやばい、ってことで毎日運動をするようになった。食事も見直して節制している。

そうこうして気づいたら2ヶ月経ち、体重は8kg落ちた。

まだまだBMI的には肥満体型だけど、それでも以前より服を着たときのシルエットがきれいになっていることが嬉しい。ベルトの穴も3つ縮んだ。

 

服を買った日の帰り道はなんだか自分に誇らしげで、それはまるで根拠のない自信なのだけど、手に持つ袋の中にはこれからの自分をきっと後押ししてくれるような、そんな存在を感じている。