昔のこと

木彫りのレリーフ

三年四組 近藤大輔 僕は自由表現にこの木彫りをやりました。 この木彫りを選んだ理由は、僕は将来建築設計の仕事につくのが夢で、そのためにデザインの勉強になると思い木彫りにしました。それに身近に木彫りを趣味にしてる人がいて、その人に木彫りを教えて…

父親からのアナウンス

「だいちゃーん」 そう言って頬を擦りつけようとする父親を「いいから!きもいから」と両手で押し返す。青髭のじょりじょりした感触と共に、自分の頬にもその物体が感染するようで嫌だった。押し返された父親は、冗談だよといった調子で笑う。まだ子供だった…

覚えてる範囲で

どこにも合わないピントで、ただ流れていく景色を見ていた。 大通りから住宅街へ。それまでゴーーと低い音を鳴らして走っていたタイヤは速度を落とし、じゃりじゃりと小石を踏みながら進んでいく。ナビを見ながら「たしかこの辺だなー」と社員。やがて、一軒…

ミネラルウォーター

その日は夏日だった。 朝7時に事務所に集合、そしてこれから行う作業の説明を受けた。 支給された制服に着替えて、荷物を梱包するための資材を言われるがままに運ぶ。資材が置いてある倉庫とトラックの往復、作業に必要なものが次から次へと手渡される。それ…

つづく話

6月3日(木) 晴れ 今日は週一で中山先生が来る日でドキドキしてた。勉強を全然やっていなかったからだ。あと、中学校に行く予定だったから。なので、先生が来るまでドキドキしておちつかなかった。そして、ついに先生が来て、いざ勉強をやると、だんだん落ち…

中山先生

おもちゃを箱の中に置いていく。 毛糸の動物、レゴの人形、ゴム製の恐竜、西洋風の建築物、砂が敷き詰められたその場所にはいくらか不似合で、まるで夢のようなチグハグさが生まれている。なのになぜだかそれが落ち着くようでもあって、しばらくその作業に熱…

テレビっ子

「おひるやすみはウキウキwatching〜あっちこっちそっちどっちいいとも〜」 お馴染みのテーマソングがテレビから流れる。 タモリさんを中心に、各曜日のレギュラーメンバーがゲームをしたり、たわいもない雑談を楽しむ様子がそこにはあって、遅めの朝ごはん…

キーンコーンカーンコーン

目がさめて、朝がくる。 隣の部屋からは、めざましテレビの音が小さく流れている。 あれから何日も部活を休んだ。 毎朝、「今日こそ行かなきゃ」という気持ちではいるのに、もう一方の心がそれにストッパーをかける。なんでこんなに休んだんだよ、ずる休みか…

ある練習日の朝、

不登校になった。 中学一年の頃、陸上部に入っていた僕は、夏休み中にある早朝練習のために毎朝5時に起きていた。 時間も時間なので朝ごはんという気分でもなく、早々に支度をして家を出る。まだ薄暗い中、県道を走る大型トラックを横目にしながら必死に自転…

初体験

小学5年生の頃、山の教室なる行事があった。 静岡市の山の中にある宿泊施設で、一泊二日の体験学習をするというもので、同級生の皆と一緒に料理をしたりハイキングしたり、小学生の時分からしたらそれはそれは楽しい一大イベントだった。 日中に沢山活動をし…

はじめてのライブ

耳鳴りが続いている。 キーンと耳の奥で響いているものが、いつになったら治るのか分からずに、もしかしたらこのまま続いていくものなのか、いや、むしろいつかプツンと音が聞こえなくなってしまうのではないかという、えもいわれぬ不安が帰り道を包んでいた…

何を言いたいかというと特に何か言いたいわけでもない

墓参りに行ってきた。 静岡の田舎に母方の祖父と祖母は眠っている。 早くもアクセル全開の花粉が風に舞っている日曜の正午、しんどい頭と鼻をすすりながら寺まで歩く。くしゃみするほど憂鬱になっていくのだけど、それを紛らわせるのは山!山!山!そして川…

はじめてのラブホテル

こんにちはこんばんは。近藤です。 ラブホテル、ラブホテル、この字面だけでまだドキドキできる29歳はどうなんでしょか。うぶなのか気色悪いのか、ぶりっこおじさんて一時言われていた上地雄輔さんのように天真爛漫ぶんしゃかピースぶちかましていけばキャラ…

手紙

こんにちはこんばんは。近藤です。 やー前回の記事があまりにひどくて反省しています。 たとえ間に合わせでやったとしても、それをあからさまに感じさせるような文章にするべきじゃなかったなーと思って。ええ。 で、今日なんですが、「手紙」について書こう…

近藤の近藤による近藤のためのエロ本

こんにちはこんばんは。近藤です。 今日はエロ本の話です。 「男なら誰でも一度は..」といきなり話をはじめたところで、きっと育った環境によっては「そんな”当然”わたしは知りません」という人だっているでしょう。当然。 だから僕の場合は、で話すんですが…

トトトトトッッッッッダンットーントーントーーーンッ

こんにちはこんばんは。近藤です。 子供の頃によくやっていた遊びのひとつに「石わたり」というのがあります。 川にある大小様々な石の上を飛びながら、こちら側から向こう側へとわたる遊び。 その中には苔が生えてすべりやすくなっている石もあれば、バラン…

なす術なく卒業写真

こんにちはこんばんは。近藤です。 前回なんだかわからないけれど気が付いたら3000文字以上も打っていて自分でびっくりした。最初にある程度話の構成を作ってやったらあんなことになった。その反動なのか、おかげでいまは書くことが何も思いつかない。 いや…

絵を売る

どうもこんにちはこんばんは近藤です。 一昨日の記事で「フリマテン」という、 kondo.hateblo.jp 美術作品を路上で展示販売する企画について書きましたが、今日はそのきっかけというか、なぜそういうことをやるに至ったのかについて書きたいと思います。 「…

フリマテン

こんにちはこんばんは。近藤です。 今日は前回の記事の最後に予告した「フリマテン」という企画についてです。 まず最初に「フリマテン」とは、 「フリー」+「マーケット」+「展覧会」を組み合わせた造語です。 ”作品を作るだけではなく、それを観る人や買…

ぱーと2

こんにちはこんばんは。近藤です。 おとといのつづき。 連絡交換をした後の日々は、まるで別世界のように輝いた。 キラキラ、そして爛々と。 たどたどしいやりとり「季節はどれが一番好きですか?」「食べ物何が好きですか?」「好きな色…『ぜんぶおまえだよ…

初めて付き合った人

こんにちはこんばんは。近藤です。 今日は初めて付き合った人の話。 高校3年の夏だったか、授業終わりに声をかけられた。 「あの、よかったら連絡先を交換してもらえませんか?」 2歳年下、小柄で髪色明るく、毛先はクルクルとアイロンで丁寧に巻いていた。 …

杉並区貴重木

自宅の近くに大きな木がある。 「杉並区貴重木」と札が付けられたその木を毎朝見上げながら通り過ぎる。 大きさは10m以上あるだろうか、直立不動のようにぐーっと真っ直ぐ伸びている。それが路地に入って住宅の中、突如として視界に入ってくるから、引越して…

凸凹ショップ

その「四季書房」の向かいにある駄菓子屋「凸凹ショップ」も好きな店だった。 入ってすぐに駄菓子、スーパーボールや小さな着せ替え人形といった懐かしの玩具、レジ横にはガラスケースにディスプレイされた遊戯王カードのレアがキラキラと輝いていた。 さら…

四季書房

西新井の比重が多くなってしまった。 五反野、、 駅から家までの帰り道、路地に入って人通りが少なくなった場所に「四季書房」という古本屋があった。老夫婦が営んでいて、広さは8畳くらい。店内は薄暗くて店の奥ではテレビを見ながら帳場に目を配る2人がい…

ADACHIKU RHAPSODY

東京に越してきて初めて住んだのは足立区にある五反野という所だった。 人に住所を教える時、語感が似ていることでよく五反田と間違えられていたのが懐かしい。 でも似ているのは語感だけで、街の賑わいは全くといっていいほど違った。 北千住駅から東武スカ…

傷に気がつくこともある

小学生の頃に友達と遊んだ記憶。 自分の家で、ダンボールとカッターを使って何かを作ってた。それは、秘密基地だったかもしれないし、好きだったジュウレンジャーの合体ロボだったのかもしれない。 勉強机と椅子を柱にして、その上に布団をありったけ乗せた…